気持ちを伝えることと敷居の高さ
わかりやすい例として
ラブレターとラブソングを比較してみます
ラブレターは、気持ちをそのまま書くだけでも完成します
「好きです」
これだけで
この1文だけで「恋文」になります
でも、ラブソングだと、好きだという気持ちをどう表現するかと考える必要があります
リズムはどうする
直接的か間接的か
相手の名前を入れるか
などといろいろ考えると、「恋歌」はむずかしいです
万葉集の歌は、他の和歌と何が違うのだろうか
いま、ラブソングを作るとしたら、ポップ調・ロック調・ボサノバ・演歌などなどさま
ざまな形式から悩むことになります
でも、万葉集の時代なら五・七・五・七・七だけ
このリズムに合わせれば良いのです
しかも、うるさい師匠も面倒な決まり事もありませんでした
好きだという思いを五七五七七にすればよかったのです
感情の動きは、人の死に出会ったときにも激しく動きます
悲しみや苦しみ。後悔や憤怒を、思いのままに五七五七七にすればよかったのです
古今和歌集以後の和歌は「かっこいい」んです
万葉集の和歌は「どんくさい」のです
でも、だからこそ1300年も昔の「気持ちが」伝わるのです
むずかしいけど、おもしろい
それが万葉集のうたなんです
文・万葉ロマン塾 塾長 関隆司
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