10月21日、「万葉ロマン塾2023 in 港区」を港区立伝統文化交流館で開催しました。
第一部は万葉集に関する国内最大の博物館である高岡市万葉歴史館の藤原茂樹館長(慶應義塾大学名誉教授)が「三田の丘から能登羽咋の海へ―あそびと万葉集 港区版―」と題した講演を行いました。
藤原館長は万葉集に神木として登場する「タブノキ」の話を中心にされました。私たちは普段の生活でタブノキを意識することはありませんが、各地の鎮守の森、皇居には1000本以上あると言われています。奈良時代、大伴家持はタブノキについて、こんな歌を詠んでいます。
磯の上の つままを見れば 根を延へて 年深からし 神さびにけり 巻19-4159
(海辺の岩の上のつまま(タブノキ)を見ると、根を長く張っていて、年を重ねているらしい。神々しくなっている)
藤原館長は「タブノキは日本の在来の木の中で最も古く、日本文化の原点であるが、現代では忘れられている。でも線香の香りがタブの香りであるなど、実は身近な存在である」と強調されました。
身近なものを通じて、古代とつながることができるのは素敵ですね。日本的な感性を身につけるとはこういう知識の積み重ねかもしれません。
さて、タブノキは能登半島など海側に多いのですが、東京港区の芝公園でも見ることができます。遠くからでも一目でわかるため、よく待ち合わせ場所になっています。以下の写真が芝公園のタブノキです。
第2部は恒例の万葉集の朗唱の体験会です。皆さん、万葉衣装に身を包み、自由に朗唱を楽しまれました。ルールは一切ないことが、万葉ロマン塾の特長です。25名が参加されました。
朗唱の解説は万葉ロマン塾の関隆司塾長(高岡市万葉歴史館 図書情報課長)が行いました。
公務で出席できなかった橘慶一郎衆議院議員(元高岡市長)は昨年に引き続き、ビデオ出演で朗唱を披露して、会場を沸かせました。橘議員は永田町で最も万葉集に精通している政治家として知られています。
後日、当日の様子を動画で公開します。お楽しみに!
写真:吉川一郎 文章:巻島大樹
2023年10月23日 北日本新聞
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